オペラ「王さまの耳はロバの耳!」(全1幕・30分)
原作:ギリシャ神話・ポルトガル民話
脚色・台本・作曲:木村哲郎

ろばの耳を持った王さまをめぐる、ユーモア満載、そしてちょっと心があたたまる舞台。
オペラ「かしこい仕立て屋さんのおはなし」(全1幕・25分)
原作:グリム童話
脚色・台本・作曲:木村哲郎

「なぞなぞ」に参加して、みんなで応援!あきらめないこと、信じることを伝える、参加型オペラ。
朗読うた物語「よだかの星」(40分)
作:宮澤賢治 曲:木村哲郎

「よだかは、実にみにくいとりです。」存在をめぐる物語を、宮澤賢治の言葉そのままに、美しく、時に劇的に展開します。
朗読うた物語「ごんぎつね」(35分)
作:新美南吉 曲:木村哲郎

新美南吉の「ごんぎつね」。
小学校4年生の教科書にも出てくる、やさしさと後悔、伝えられなかった気持ち。
音楽とうたの感動的な世界。
合唱劇「木馬が乗った白い船」(全1幕・45分)
原作:立原えりか 作曲:木村哲郎

「ぼくは、いつでも待っています。あなたの夢のなかの公園で」
優しく、穏やかに語りかける立原えりか原作のファンタジー。
木村哲郎作曲の切ないメロディと語り口に、多くの人が涙してきました。
現在公演中の作品はこちらをご覧ください。
学校の芸術鑑賞教室やホール主催事業でも
上演可能ですのでお問い合わせください。
演目解説
オペラ「王さまの耳はロバの耳!」「かしこい仕立て屋さんのおはなし」朗読うた物語「よだかの星」「ごんぎつね」などのホール上演の際に配布しているプログラムノートや公式ガイドブックより一部抜粋しました。
『オペラ「王さまの耳はロバの耳!」について』(子ども向け)
(2024年3月17日ムーブ町屋ホール初演プログラムノート)
ほとんどの方が、たぶん子どもの頃に、本であったり、誰かに話して聞かせてもらったりして、1度、いや何度も、この有名な物語に接する機会があったと思います。私自身、どういったタイミングだったかは全く思い出せませんが、絵本であったり、またはテレビなどで読んだり観たりしていたので、とてもよく知っている身近なお話でした。
この作品には、「王さま」「とこやさん」「女の子」という3人の人物が登場します。3人とも異なった個性を持っているわけですが、何か特別な個性ということではなく、それぞれどこにでも居そうな性格、個性の持ち主だと思います。
「王さまの耳は、だいぶ個性的だよ」
たしかにそうかもしれませんね。
でもたとえば、運動が苦手とか、勉強がわからなくてこまったとか、
そして、そういった自分をとても気にしてしまうことなどは、
王さまが、自分の耳をとても気にしてしまうところとよく似ているんじゃないかなと思います。でもそういうことって、だれにでもよくありますよね。
「王さま」にしても、「とこやさん」にしても、「女の子」にしても、それぞれ似た感じの人が、この世の中にはたくさんいると思います。


「王さま」のように、自分のことをとても気にしてしまう人
「とこやさん」のように、なんでもかんでも人に話してしまいたくなる人
「女の子」のように、相手を勇気づけられる人
お話に出てくる人の中で、だれが一番自分に似ていますか?
そんなことを少し考えながら、このオペラを観ていただけるとうれしいです。
そして、もし歌えそうなメロディーがあったら、その登場人物になったつもりで、
あるいは応援する気持ちで、ぜひいっしょに歌ってください。
作曲家 木村哲郎
森のテオリア芸術監督
オペラ「王さまの耳はロバの耳!」と朗読うた物語「よだかの星」
(2024年6月29日下北沢タウンホール公演プログラムノート)
王さまのありのまま、あるがままの心を大切にしてくれる、女の子。この女の子の存在は多分誰にとっても必要で、それは家族かもしれないし、仲間かもしれないし、恋人かもしれないし、社会かもしれない。
コンプレックスをかかえる王さま。「パパとママはいいっていうけど、、僕はいやなんだ。」このセリフは辛い。本当につらい。本当はすべて祝福されて生まれてきて存在しているはずなのに、、、。
王さまが変わっていく、というか心が溶けていく、閉じこもらないで開いていく過程、これも本当に自分を振り返ってみても本当に難しくて、本当はそんな簡単に溶けない。ロバの耳自体も嫌だし、他人にみられるのも嫌だけど、それよりも、本当のところは、耳のことを隠す自分のことが王さまは嫌なんだと思うんです。でも、その部分まで、大切にしてくれる人がいることで王さまは溶けていく。人の目を気にして生まれる硬い心を救ってくれるのも人ではないかと思うんです。
自分のことが嫌いっていうことは他人には(もしかしたら自分にも)ばれていない。王さまにコンプレックスがあるなんて誰も思っていないし、ちゃんと社会生活を送っている、ようにみえる。だから「とこや」も茶化しちゃう。大したことだと思ってないことだから。まさかそんなに気にしていることだと思えないから。誰も悪気も何もないんです。でも、王さまはすごく気にしているから、言われたら怒ってしまう。私の中で3人とも愛すべきキャラクターです。でも言ってほしかった、それは辛いんだって。いや、王さまに言える環境をつくってあげたかったと思うんです。そして、大したことじゃないことをなんで無理に隠したんだろうって王さまに思わせてあげたいんです。世界はあなたが作り上げた妄想よりももっと寛容です。(と誰かが言っていました!)
『朗読うた物語「よだかの星」』ではロバの耳と同じ作曲家で同じ演奏者にも関わらず全く違う空間を体感してもらえる。題材探しをしていて、「よだか」は一度ボツになっている。しかしこの内容がずっと気になっていて個人的な解釈も揺らぎながら上演し続けている。最近ではカンパネルラやブドリがとった行動は実は自己犠牲ではないのかもしれないと感じはじめている。よだかと同じように、存在や関係性への強烈な問いかけが彼らにもあったのではないか。でも星になったら彼らに会えなくなってさみしい。星になっていつも心の中にはいても、触れられない、癒せないのは強烈にさみしい。
木村さんの曲は「言葉」と「音楽」と「映像」が同時になだれ込んでくる。音楽による心理描写と解釈がこのつらい本を最後まで読む(聴く)ことを助けてくれる。そして公演するたびに必ず涙する人がいて、いつも「この人の心も自分と同じように何かに反応したんだろうな」と思いながら、涙が出そうになる。この作品から何かを感じている自分がいて、それが何かみえてなくても、他者の中にもそれが生まれているであろう瞬間を目撃するたびに何か安心する、癒される自分がいる。
クラリネット奏者 大藤豪一郎
森のテオリア代表


オペラ「かしこい仕立て屋さんのおはなし」再演に際して
(2025年8月10日プラッツ習志野公演プログラムノート原案より)
基本的には筋がしっかりあって見に来た人が人生っていいよな、とか、ちょっと心温まるオペラを作りたいと思っている。だからロバの耳!が子どもと一緒に観たお父さんや学校の先生方に刺さっている感じには、おじさんはほくそ笑んでしまう。だいたい私を代表とする「おじさん」は説教臭いのが好きであるし、自分だけつらい経験をしてきたという勘違いを共有したがる。しかし、このオペラの台本はおじさんの心には全く刺さらない(笑)
なぞなぞを解いたら結婚してあげるなんてそんな単純な展開!なんだそれ!そんな単純な子供だましの台本、、、!しかし子どもたちは無意識か意識的にか騙されながら熱狂の渦に入る。でもそういえば、プッチーニのオペラ「トゥーランドット」もなぞなぞじゃないか。しかもなぞなぞ解いたのに結婚してもらえないなんて、なんというというわがままなお姫様!というところまでも同じ!!
でも、我々の舞台では子どもたちの「えーっ!」「うそつきじゃん!」という突っ込みの声援と憤慨と応援が噴出する。なんと痛快な観客たち!愛する人と結ばれるためにひたむきに頑張る、そんな人を応援する、という構図は古今東西、老若男女に通用する台本で、さらに、そこに子どもたちの声援が劇場で共鳴したとき、このオペラは完成する。
子どものためのオペラ。子どもの目線。これは本当に難しいと思う。我々作り手は子どものために創っているのではなくて、子どもにこういうものをみせたいという自己満足の要素を織り込んで創ってしまう。だから、子どもが喜ぶものを作る!?でも、さすがにマリオパーティーに明け暮れる息子をみていると、彼のやりたいことをやらせて、本当にいいのか、と真剣に悩む。かといって、本を読めー、本を読めーといっても、そういえば、自分も全然読んでいなかったなあ、本を読むのは苦痛で大変だったなあと思うから、強引におすすめできない。(この辺、本を読んでいた親の方が成功体験からくる強制力が強めで子どもは色々大変そう、、)
というわけで、うちの小1をこの舞台に誘ってみようと思う。説教臭くないグリム童話で、説教臭い台本が嫌いな木村哲郎による脚色・台本の子供のためのオペラ「かしこい仕立て屋さんのおはなし」をみせてみようと思う。どこが良かったか聞いてみたいと思うけど、ただただ楽しかったでもいいと思う。なんとか劇場に来てくれさえすれば、言葉ではなく、心のどこかに「ひたむきに生きることの大切さ」が残ってくれたら、という私の自己満足も完成する(笑)
2025年7月24日
クラリネット奏者 大藤豪一郎
森のテオリア主宰

過去の定期公演
2024年3月17日テオリアプロジェクト第三回公演(ムーブ町屋ホール)
オペラ「王さまの耳はロバの耳!」新作初演
ギリシャ神話/ポルトガル民話・木村哲郎
2023年3月24日テオリアプロジェクト第二回公演(ムーブ町屋ホール)
朗読うた物語「ごんぎつね」 新美南吉・木村哲郎
合唱劇「木馬がのった白い船」 立原えりか・木村哲郎
2022年12月26日テオリアプロジェクト第一回公演(杉並公会堂小ホール)
朗読うた物語「ごんぎつね」(新美南吉・木村哲郎作曲 新作初演)
朗読うた物語「よだかの星」(宮沢賢治・木村哲郎作曲)
日本語オペラ「かしこい仕立て屋さんのおはなし」
(グリム童話・木村哲郎(脚色・台本・作曲))
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